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中国の夢 "一帯一路"

【日本初公開作品】
2019年製作/中国・ジブチ・エチオピア・パキスタン/作品時間52分
中国が自国の製品を世界市場に売り込むため、習近平国家主席が立案した戦略が「一帯一路」です。今後40年以上をかけて、アジア、ヨーロッパ、そしてアフリカに向けて鉄道と海路、陸路を開拓する計画です。途中には駅や港、工業地帯も建設します。世界地図を、政治的経済的に自分たちの都合のいいように書き換えようとしているのです。その経済規模は1兆ドル。人類史上、最も高額な開発投資です。中国は資金と技術、繁栄の夢や人材とともに、ノウハウも輸出しようとしているのです。アフリカのジブチ、エチオピア、そしてパキスタンを訪ねます。
 
監督:エルヴィール・ベラーヒャ・ラザルス
 
◆「貧しくても飲み水と農作物があった。今は何もない」◆
中国が、アフリカのジブチから内陸へと敷設した新しい鉄道の終点は、人口急増中のエチオピアです。首都のアディスアベバでは、すでに中国が環状道路や路面電車を敷設し、首都の50キロ南には巨大な工業地帯も建設しました。中国の街や県の名をつけた通りが見え、見渡す限り工場群が続いています。こうした工場では、中国人労働者より10倍安いエチオピアの労働力を利用し、そこで生産された商品をヨーロッパへ安く輸出します。こうしたアフリカの工場が、多くの中国企業の投資先になっています。さらに、海外に中国企業が進出することによって、海外にも中国人の就職先を作り出しているのです。アフリカでの工場建設によって中国企業は潤いますが、一方で農地を失ったエチオピアの貧しい農民や、酷使される労働者たちは、経済発展の恩恵から取り残されたままなのです。現状を嘆く農夫がつぶやきます。「かつては、貧しくても飲み水と農作物があった。今は何もない」。

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