特集「悪魔の兵器」(全3本)
◆復興を阻害する、地雷・不発弾・仕掛け爆弾
たとえ、戦争や内戦が終結しても、復興を阻害する深刻な問題があります。地雷や不発弾、仕掛け爆弾など、処理しなければ半永久的に無差別に人々を殺傷し続ける〝悪魔の兵器〟の存在です。そうした兵器は、特殊な場所ではなく、人々が日常生活を送る身近な所に無数に存在し、戦争に関係のない多くの一般市民を巻き込み、追いつめているのです。1997年、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(通称「オタワ条約」)に日本を含む121ヶ国が署名し、1999年に発効しました。そして現在は164カ国が加盟しています。しかし、現実に埋められている地雷は、今も世界中に残置されており、その数は現在約5千万個と推定されています。2018年の1年間に判明している、地雷、クラスター爆弾、不発弾による被害者の数は、50の国と地域で6,897人。そのうち、3,059 人が死亡し、3,837 人が負傷、1人が不明。被害者の71%は戦争と関係ない市民で、そのうち54%は子どもでした。一刻も早く、地雷や不発弾などのない、安全な大地を取り戻すことが、世界中で強く望まれています。
◆〝悪魔の兵器〟廃絶をめざして
条約に加盟する国は増えてきましたが、一方で近年は非国家勢力(武装勢力など)による地雷の使用が、国家による使用を上回ってきました。条約に加入していない、ミャンマー、北朝鮮、シリアでの使用をはじめ、アフガニスタン、コロンビア、イラク、リビア、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、シリア、ウクライナ、イエメンでは、非国家勢力による地雷使用が報告されています。さらに即席爆発装置(IED)による被害が急増しています。即席爆発装置(IED)とは、容易に入手できる材料で作られる手製の簡易な仕掛け爆弾のことです。ゲリラ・過激派組織、武装勢力などが、手榴弾・砲弾・地雷などを流用して製作し、占領軍などを攻撃するために使用する兵器です。路肩爆弾や自動車爆弾など、様々な形がありますIEDは非国家勢力が国家の知り得ない場所で生産・使用しており、条約の枠内で取り締まることは困難です。世界はこうした〝悪魔の兵器〟廃絶のために動いていますが、非国家勢力という新たな脅威も出現し、課題は山積しています。地雷探知・除去技術の研究・開発で世界をリードする日本は、世界の平和構築に貢献できる力を持っています。私たちが、この問題に関心を持ち、理解を深めることで、今まで以上に支援を後押しする力につながっていくのではないでしょうか。
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