特集「教育の可能性」(全2本)

◆教育を受けられないアジアの子どもたち
アジアには学校に通うことができない子どもたち、教育を受ける機会を与えられない子どもたちが、いまだに大勢います。そうした社会背景には、紛争、貧困、宗教、習慣、差別など、さまざまな問題が連なっています。しかしながら、そうした状況を改善し、一人でも多くの子どもたちに、より質の高い教育を提供することを願い、活動を続けている人々が存在します。
 
◆“女が教育を受ける事は許し難い罪”という価値観との戦い
2014年のノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人権運動家マララ・ユスフザイさんは、中学生だった当時、武装勢力タリバンによる女子校の破壊活動を非難し、下校途中で銃撃されました。「女が教育を受ける事は許し難い罪であり、死に値する」というのがタリバンの主張でした。しかし、彼女はそうした暴力に屈することなく、世界に向けて女性への教育の必要性や平和を訴える活動を続けています。彼女の強い意志に呼応するように、タリバンの支配下にあったアフガニスタンでも、襲撃の危険と向き合いながら、多くの教育者が命がけで女子教育を推進しようと奮闘しています。
 
◆教育困難地域で良質な教育を生み出すために
一方、教育科学者のスガタ・ミトラさんは、良質な教師や学校が存在しない辺境でも、インターネットを通して、子どもたちが自律的に学ぶことができる勉強方法を確立しようとしています。インドのスラム街や教育困難とされる辺境地に、自由に使えるパソコンを設置した実験では、子どもたちが興味を持って勝手に遊びはじめ、4時間で一通り使えるようになったそうです。さらに、「英語力が飛躍的に伸びた」「何事も実に深く考察するようになった」という変化が生まれました。こうした実験で、子どもたちが興味を抱いたとき、そこに教育が生まれるということにミトラさんは気づいたのです。それは教育困難地域だけでなく、先進国も含めたすべての学校教育に応用できるものでした。

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