特集「持続可能な社会を考える」(全3本)

◆サプライチェーンと私たちの暮らし
利便性と経済性を優先してきた私たちの暮らしが、大きな転換期を迎えています。先進国の“独り勝ち”では、世の中が成り立たなくなってきました。発展途上国との間での公正・公平な取引や取引機会の平等を確保することはもちろん、環境負荷の軽減や人権の尊重、労働環境への配慮も欠かせないものとなりました。このような社会の変化に対応して、“持続可能”をスローガンに掲げる企業は少なくありません。しかし、このスローガンを免罪符のごとく悪用し、実態が伴わない企業が存在するのも事実。最終消費者である私たちの眼力も問われる時代になっています。
 
◆成長と環境を両立させる新たなアクション
これまでの人類の歴史は、経済成長と環境破壊の同時進行を繰り返してきました。豊かさの代償として、公害や災害などの被害が生まれていました。近年、持続可能な社会を形成するための大きなパラダイムシフトが起き、経済成長と環境保全を両立させる新たなビジネスや事業への投資が積極的に行われています。環境は、次世代の成長分野の一つ。限りある資源を有効活用し、大量消費社会からの脱却を図ることが、持続可能社会へのステップとなっています。とはいえ、一部の先進国を除いては、経済そのものが未成熟。途上国の経済発展を進めると同時に、環境を守るという新たなアクションが求められています。
 
◆拡大し続ける格差と不平等
経済成長は、豊かさと同時に格差も生み出しました。2008年の世界金融危機以来、億万長者の数は2倍以上に増大しましたが、2018年に生み出された新たな資産のうち82%が、1%の最富裕層の手に入っています(クレディスイス調べ)。貧困層の人々にはまったく恩恵が及んでいないのです。現時点で世界人口の3分の2以上は、格差拡大に直面しています。また、世界のほとんどの地域で所得が向上しているにもかかわらず、子どもの比率は依然として高く、世界の貧困層の約半分。先住民や移民、難民、少数民族やその他のマイノリティーも、今もって差別や社会からの隔絶に苦しんでいます。

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