理想郷を求めて全3本

本当にしあわせに生きることができる社会

「理想郷」とは何でしょうか。辞書などには「想像上に描かれた理想的な世界。ユートピア」などと記されています。私たちは、それを「人間が人間らしく生きられる場所」と想定してみました。つまり、それは、人それぞれが本当にしあわせに生きることができる社会ではないかと思います。もちろん、しあわせの定義そのものが難しく、個々人の主観でもありますが、理想の先にこそしあわせがあると考えるのは、当然のことではないでしょうか。

現代社会は「理想郷」なのか?

私たちが生活している社会は、科学技術の発展とともに利便性が向上し、とても便利になっています。コンピュータは、人間の頭脳以上の能力を発揮して、複雑で膨大な計算を瞬時に行い、私たちが満足できる答えを提示します。「便利=しあわせ」と考えるならば、私たちは、まさに「理想郷」に生きているのではないでしょうか。しかしながら、現代社会を理想郷だと考える人は、決して多くはありません。なぜなら、理想は追い求めるもので、科学技術は、いつまでも私たちが満足する欲望に追いつくことができないからです。

「理想郷」、それは「心のふるさと」

一方で、しあわせに生きることができる社会を考えた時、「理想郷」という言葉から、自分が生まれ育った故郷の情景をイメージする人もいるでしょう。なかでも、「想い出」という記憶の中に生きている「心のふるさと」は、私たちの「いつか帰る場所」といった精神的な拠り所になることも多いのです。つまり、そこで生まれ育ち、積み上げてきた時間の中で、懐かしいと感じられる生活文化や、習慣、受け継がれてきた伝統などが、「理想郷」のモデルとなっているのです。失われつつある懐かしいふるさとに、私たちは「理想郷」を追い求めているのかもしれません。

未来に残すべきものは何なのか

つまり、「理想郷」について考えることは、私たちが生きる社会をみつめなおすということです。社会が孕んだ問題をいかにして解決するのか。私たちが後世に受け継ぎ、守るべきものは何なのか。未来に残すべきものは何なのか。この特集でお届けする3本の作品を通して、ぜひ、あなたにとっての「理想郷」を思い描いてみてください。

 
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