制限なし

【タウンリポート】カトマンズの“かわいい”お店たち

ASIAN TOWN REPORT vol.1

アジアの街角を現地の生活者の視点でウォッチしてみるアジアン・タウン・リポート。私たち日本人がまだまだ知らない現地ならではの常識や流行、社会や経済・文化にまつわる話題を気ままに報告してもらいます。今回は、ネパール・カトマンズの街角からお届けします。
 

 
 

あなたもネパールで店開きしませんか?小さな商売で暮らすネパール人たち 

ネパールで商売を始めるのに、手ごろな手段として、小売りの店を構える方法があります。店の規模は様々で、店幅3、4mほどの商店から、店番がひとり、ちょこんと収まるほどのミニミニ商店まで。レンガ、ブロック、トタン、中には有り合わせの木材でつぎはぎした、かなりアバンギャルドな店まであって、ネパール人のモノが無いなら無いなりに工夫する精神が,垣間見える光景です。そんな中でも珍しい場所で商売をしている店や、移動式の店などもあって、例えば、歩道橋の階段下をうまく利用するとか、小さなお寺の側面を店にしてしまうとか、そんなところでも当たり前に商売を出来るたくましさは、圧巻です。 

また、小さめの棚にタバコ、嗜好品、チャウチャウ(インスタントラーメン)だけを陳列して商売している人もいます。面白いのは、その棚の真ん中あたりに小さな赤い扉があって、お金を仕舞うミニ金庫になっているのです。いつも同じ場所で商売しているオバちゃんは、その小さな棚の前にドッカリと座り込んで、バダン(ピーナツ)を売ったり、マッカイ(とうもろこし)を焼いたりしているのを見かけます。どんなところでも自分の器に見合った商売を、まずは始めてしまう。”店“という見た目の箱は、なるべくお金をかけずに工夫するようにやっているようです。 

また、それぞれの店は、規模を見れば、だいたいどんな品揃えの店か想像できます。大きめの店では、ネパール人の家庭で頻繁に使われるスパイス類、ダル(豆類)、ジャガイモ、玉ねぎ、トマト、季節野菜、チャイ(ネパール茶)、卵、米、日用品、タバコ、飴、ビスケット、駄菓子…など必要最低限の生活必需品がひと通りそろっています。贅沢を好まない生き方を、自然に出来ているネパール庶民には、便利な店でもあります。 

 
 
 

ネパール人には欠かせないチャイを飲ませるお店“チャイ屋さん 

そんな中でも物品販売のほかに、ネパール人に欠かせないチャイを飲ませる店があります。チャイ1杯は10ルピーくらいです。朝の目覚めに一杯のチャイ。客人が来れば一杯のチャイ。ネパール人家庭に呼ばれると一杯のチャイ。といった具合にチャイはネパールで最もポピュラーな飲み物です。チャイを飲みながら日頃の情報交換をしたり、女たちにとっては、しゃべり場でもあります。 

店の一日は、早朝5,6時ころにシャッターの音と共に始まり、店主(サウジー)が沸かしたチャイの湯気が、朝イチにやってくる近所の常連さんたちを待っているようです。そんな朝の風景には、常連さんのほかに、鼻をきかせた犬たちがソロソロと歩みよって来て、店の前の道端で,物欲しそうに、しゃがみこんでいます。朝のチャイにはビスケットの組み合わせが一般的で、小袋20ルピーほどのビスケットを店で買い、チャイにひたしながら食べるのがネパール風食べ方でもあります。残ったビスケットは、そこらへんで、しゃがみこんでいる犬たちの朝食となるわけです。 

また、チャイ、ビスケットのお供は、朝のいっぷくにはかかせないようです。店の柱にヒモでくくりつけた1個のライターがあって、その1個のライターを皆で共有するというやり方は、ネパール人の共有精神の特徴が見える一コマです。タバコはひと箱200ルピー、一本13ルピーです。タバコ以外には、卵、飴、駄菓子、線香などもバラ売りで買うことが出来ます。小銭が活躍できる、ネパールミニ経済を感じさせます。また、パック売りの品をバラ売りでもいいよ、と言ってくれるネパール人の気軽さ、フレキシブルさを感じます。子供たちは小銭を握りしめて、飴や駄菓子を買いに…古き日本を思い出す駄菓子屋のような感じの風景がそこにはあります。子供たちが店に行くと、店主(サウジー)が、ケ?(何?)何が欲しいんだい?と聞き、子供たちは、チョコレートディヌナ(飴ちょうだい)...そんなやりとりが聞こえてきます。(ネパールで飴はチョコレートです)そんな風景には、ほっこりする暖かさを感じます。店主(サウジー)は、小さい子供たちからお年寄りまでの客に一日中接しながら、近所の情報から噂話まで聞き流し、一日は暮れていき、次の朝にはまたシャッターの音と共に始まります。様々な形態の店が、それぞれの都合や思いで、やりくりしながらの光景は、ネパール人のたくましさを感じさせてくれます。 

 
 
 

 
執筆者ダミー画像
Shyu シュウ
2007年ネパール移住。物心ついた頃からアジア好き。ライター。音楽大学ピアノ科卒業後、点々と好きなことをやって来たらネパールにたどり着く。極彩色のモノ、本、古い歴史あるもの、アート、工夫好き。夫はネパール国籍。一児の母。
公開日: 2018年07月31日 00:00