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星火

【日本初公開作品】
2013年製作/中国(民間ドキュメンタリー)/作品時間100分
本作は、1960年に起きた甘粛省での大飢饉とそれを告発する地下出版物を出した「星火事件」の全貌を描いたドキュメンタリー映画です。事件に関わった40人あまりが罪に問われ、中心人物の張春元は無期懲役の判決のあと死刑に、もう一人の杜映華は懲役5年のあと死刑になりました。それは、どんな事件だったのでしょうか…。1957年、「反右派闘争」で右派とされた蘭州大学の教師と学生たちは、甘粛省の矯正キャンプに送られ、そこで衝撃的な現実を目の当たりにします。それは、毛沢東が主導する「大躍進政策」の不条理と苛酷な飢餓状態にあえぐ農村の姿でした。あまりの惨状に、彼らは「星火」と名づけた地下出版物を発行し、悲惨な実態を中共の最高指導者層に伝える決意を固めたのです。
 
監督・撮影・編集: 胡傑
 
◆多くの犠牲は中央集権を築いたファシズムの結果◆
「大躍進政策」は、中国全土で数千万人の餓死者を出す惨憺たる結果となり、毛沢東は自ら政策の失敗を認め、生涯でただ一度の自己批判を行い、国家主席を辞任します。多くの餓死者が出た背景には、農業政策そのものの失敗に加え、地方の党幹部が自らの出世と保身のため、農民を犠牲にし、餓死者が出ていることを公にさせないために手段を選ばなかったことだといわれています。生産量を増大させた地方・地区がより「革命的」であり、その地区の共産党幹部がより有能で、昇進が約束される風潮が蔓延していたのです。「大躍進政策」とは、一体誰のための政策だったのでしょうか。「星火」発刊の言葉には、「進歩的な共産党は十年足らずで、なぜかくも腐敗・反動に変わり果てたか。偶像崇拝で民主を圧迫したからだ。中央集権を築いたファシズムの結果である」と論じています。「星火」が学生や一般の青年によって書かれ、しかも現実に対して強烈かつ鋭い批判と指摘をしていることに驚かされます。

[予告編]

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