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裁判官 -4000人を死刑にした男-

【日本初公開作品】
2017年製作/イラン/作品時間54分
「囚人たちは私を恐れています。几帳面な私なら必ず正しい裁きを下すと分かっているから…」。イランで45年にわたり裁判官を勤め、約4千人に死刑を宣告した男の日常。彼の目下の悩みは、新築する自宅のローンが支払えるかどうかということ。安定した裁判官の収入で暮らす家族は幸せそうだが、彼の半生には死の匂いがつきまとう。貧しい家庭に育ち幼くして死に別れた兄弟と母、そして強盗に殺された父。宗教国家イランで“神の名において”法を順守することに尽くしてきた男の、「死」と向き合い続けてきた生き様から、法とは何か、死刑とは何か、人を裁くこととは何かを考える。
 
※本作品には一部のシーンで、犯罪に関する遺体や凄惨な映像が含まれます。あらかじめご留意ください。特に12歳未満の方の視聴は、保護者の助言・指導が必要です。
 
監督:ハッサン・カデミ
 
◆裁判官がどのような判断で死刑を宣告しているのか◆
国際人権団体アムネスティがまとめた2019年版の報告書によると、イランの死刑執行件数は中国に次ぐ世界第2位です。宗教国家イランでは、イスラム教の法律である「シャリーア」によって裁かれます。死刑と定められているのは、殺人、強姦、同性愛行為、麻薬の使用、麻薬の流通、武装強盗、姦通などです。殺人罪では、「目には目を」といった報復が重視され、被害者家族に刑罰の決定権が与えられます。また、姦通罪では「石打ちの刑」に処されます。囚人が身動きできないよう下半身まで土に埋め、息絶えるまで石を投げつけるのです。こうした残忍な刑は、国際社会から強い非難を浴びていますが、廃止される動きは見られません。また、未成年者の死刑は世界で最多とされ、1990~2018年の間に、18歳未満の少年97人の死刑執行が報告されています。本作は、イランの刑事裁判がどのように行われ、裁判官がどのような判断で死刑を宣告しているのか、その一端を垣間見られる極めて貴重なドキュメンタリーです。

[予告編]
 
(映画賞/映画祭)
2017年 IDFA-国際ドキュメンタリー映画祭アムステルダム 
2017年 ビッグスカイドキュメンタリー映画祭 
    イラン国際ドキュメンタリー映画祭 

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