特集「結婚を考える」(全8本)

◆思い通りにはならない現実
今、結婚する意味が見いだせない人が増えています。結婚願望がありながら、様々な事情によって、なかなか結婚できないと悩む人もいれば、自ら結婚をしないという人生を選ぶ人もいます。もちろん誰にでも、結婚する、結婚しない自由があるのですが、一方で、思い通りにはならない現実もあります。理想の相手が見つからない、経済的な事情、相手や家族との価値観のすれ違い…。結婚とは、誰のために、何のために行うのでしょうか。
 
◆一族と地域の繁栄を支えるために
私たちが、当たり前と思っていた結婚の形は、じつは、国や文化圏によって大きく違います。それは、結婚に対する考え方が、宗教、風習、伝統、慣習、法律などによって形作られてきたからです。いずれも純粋な男女の愛より、むしろ社会における制度としての結婚の役割が大きな意味を持ってきたことがわかります。家を継いで財産を守る、子どもを増やし、一族と地域の繁栄を支える。そのために結婚があると考える人が、今なおアジア諸国には多いのです。
 
◆色濃く残る「家父長制」の価値観
さらに、家父長制では、妻は夫に対して従順であることが求められます。そのかわり、夫は妻や子どもを庇護する責任を負うのです。そうした価値観が、歪んだ形で受け継がれている実情もみえます。例えば、中国では、結婚相手にふさわしい男性に求められる第一条件は、人柄でも、ルックスでもなく、圧倒的に経済力です。家と自家用車を妻のために用意できない男性は見向きもされないといわれます。例えば、インドネシアでは、今なお「一夫多妻制」が残り、夫に抑圧されながら他の妻と共同生活を強いられるという結婚の形が残っています。

◆結婚を通して得られる心の豊かさ
一方、イランの精神病院で実験的な取り組みが行われました。病棟に入院する患者同士を結婚させて、心の豊かさを治療に活かせないかというプロジェクトです。愛するパートナーを見つけ、ともに支え合い生きていくことの価値は、お金で手に入れられるものではありません。それは人生の希望でもあるのです。結婚の形は、人それぞれ違います。ぜひ、8本のドキュメンタリー映画を通して、結婚について考えるきっかけにしてください。

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