特集「ISが遺した深い傷」(全5本)

◆悪夢の再来を避けるために、知っておくべきこと
2024年3月、ロシアの首都モスクワ郊外のコンサートホールで銃乱射事件が発生。140人を超える死者が出る大惨事となりました。過激派組織の「イスラム国」(IS)が犯行声明を発表。2017年に崩壊したと思われていたISが、勢力は衰えたものの今も活動していることを世界に知らしめました。最盛期の2015年には8カ国・地域に「州」を設立し、2017年までに18の国・地域でテロ活動を行なったISは、衰退後もそれぞれの地域や構成員に大きな傷跡を残しています。ISの悪夢の再来に怯える中、いまだ悪夢に取り憑かれたままの人々をカメラが捉えました。
 
◆IS支配の恐怖から今も逃れられない人々
ISが支配した地域は、度重なる戦闘行為で家屋や施設が破壊され、人々は戦闘に巻き込まれて命を落としたり、住む家を失ったりしました。行き場のない人たちは難民となり、帰る場所がなく、今も困難な生活を強いられています。また、ISに拉致され、性奴隷として扱われた女性や、戦闘員に洗脳教育を受けた子どもたちには、精神的な影響が強く残りました。普通の生活を取り戻すために、物質と精神の両面で支援が必要な人々が、今も多くいます。
 
◆家族も同志も巻き込まれた、終わりのない悲劇
ISは戦闘員の家族さえも悲劇に巻き込みました。戦闘中は“人間の盾”として利用し、わずかな食料や医薬品しか与えませんでした。それでも家族の中には、今もISを支持し続けている者もいます。IS台頭期には、単身でIS入りするイスラム教徒も多くいました。自身の行動を後悔しても、一度「IS」に染まってしまうと、祖国に帰ることが許されません。失意の中で生きる他はないのです。ISが残していったものは何だったのか、今だからこそ見ておくべき作品を特集としてまとめました。

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