
特集「木のはなし」(全3本)
◆人類の繁栄を支え続けている木について考える
地球上に木のような植物が現れたのは2億年から3億年くらい前のこと。海中に生まれた細菌のように小さな植物が、長い年月をかけて進化を遂げたものです。人類はその歴史とともに木を活用して繁栄してきました。道具として、武器として、燃料として、建材として、木をさまざまな形に変えて暮らしを豊かにしてきました。中には鉄やプラスチックなど、別の素材に変わってしまった物もありますが、酸素や水の源となり、生物の命を育むことは、他の何をもっても木に代わることはできません。身近な存在であるがために、あまり意識することがない木について、じっくり考える機会を与えてくれる作品を用意しました。
◆豊かさの代償として減り続ける森林
近年の木を取り巻く問題で最も深刻なものは森林伐採でしょう。経済成長に比例して住宅やインテリアなどの木材需要が拡大。持続可能な社会の旗印のもとに大型建築にも木造が採用されるケースが増えており、結果として豊かな森から大木が切り出されるという皮肉な事態を招くことも少なくありません。世界全体で毎年330万ヘクタールの森林が減少。1分間に東京ドーム2つ分の森林が消えている計算です。1本の木が木材として使えるように育つまでには、およそ40~50年の期間が必要と言われています。木を使う私たちには、後世まで豊かな森を残す“使う責任”があるのです。
◆木の特性を生かした伝統的工法を後世に
再生可能で環境に優しい木造建築は、建材と森の管理を適切に行えば、人と自然の共生を可能にする建築方式です。鉄やコンクリートに比べ温室効果ガスの排出が少なく、環境負荷の軽減につながります。調湿作用もあり、暮らしの快適性も保ちます。日本では古来、家屋から寺院、城まで、さまざまな建物が木で造られました。自然の摂理を重んじ、木の種類ごとに異なる性質を生かし、先達から受け継いできた伝統的工法が、千年単位で受け継がれています。世界に誇る木造建築の技術を後世に伝えることは、我々日本人の使命とも言えます。
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