特集「愛しい人びと」(全3本)

◆一番大切なのは家族
フィリピンは、国民の9割がキリスト教徒で、なかでもカトリックを信仰している人が多い国です。信仰を守り、年長者を敬い、家族を大切にすることが、人々の結束を強め、国を発展に導くと考えています。海外へ出稼ぎに行く人が多いのも、家族を支えるためです。また、家族同様に集団への帰属意識が強く、社会や地域の一員として認められ、受け入れてもらうことを大切に考えているため、円滑な人間関係を重視します。そのために、明るく、フレンドリーで前向きな人々が多いという印象を受けます。一方で、権力者に対して従順になることを強いられるのも、フィリピン社会の特徴のひとつです。カトリックの教えでは、避妊と中絶ができません。そのため子どもの数が多く、貧困層でも5人~7人の子どもがいて、親を含めると10人近い大家族になることも珍しいことではありません。また、二代、三代とひとつ屋根の下で暮らすことも多く、日本人の常識より、はるかに家族の人数が多いのが特徴です。家族は、カトリックの教えの影響を受け、父親を一家の主とし、母親は家事や育児、親の面倒をみて、家を支えるという伝統的な価値観が受け継がれています。老いた親の介護をするのは子どもとしての当然の役割で、日本のように老人ホームなど施設に委ねることは、多くはありません。
 
◆おおらかでポジティブなフィリピン人
一方、フィリピンでも働く女性が増えています。今まで家庭を支えてきた女性たちが、社会に進出しているのです。もともと大家族を支えるフィリピンの母親たちは、優しく、強くなければつとまりません。また、小さいことにこだわっていては、いくつも悩みを抱えることになってしまいます。「肝っ玉母ちゃん」だからこそ、大家族が成立するのです。そんな彼女たちが社会へ進出し、政治やビジネスの現場などで、活躍しはじめています。フィリピン社会にとって、〝強い〟女性が無くてはならない存在になっています。家族で助け合い、支え合うフィリピンの人々は、いつもおおらかで「超」がつくほどのポジティブ思考です。そこには人間に対する「愛」があります。「自分らしく生きよう」「今ある人生を思う存分楽しもう」という前向きな気持ちと、お互いのそうした気持ちを支え合う優しさや思いやりが、フィリピン人の根底にあるのではないでしょうか。

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