特集「ハーモニーを奏でて」(全4本)
◆歌がもたらすコミュニケーションの力
世界中のあらゆる地域に存在するのが歌。楽器がなくても、独唱からコーラスまでさまざまな人数で楽しめる創作表現として、人類の歴史とともに発展してきました。表現方法も、肉声のみで歌ったり、楽器演奏を伴ったり、演劇の一部に組み込まれたり、オーケストラを従えたりと、千差万別です。聞き手や伴奏者、合唱メンバーなどとの歌を通じたコミュニケーションは、地域やコミュニティの絆を深める大切な手段。歌がもたらす不思議なパワーに魅せられ、成長してゆく人々の様子をカメラが捉えました。
◆信教や政治とも深く関わってきた歴史
古来より多くの音楽が、宗教とともに発展してきました。親しみやすさとメッセージ性を兼ね備えた芸術は万人が受け入れやすく、音楽活動に参加することもまた、信仰心の現れとして心の平穏を保つことにもつながっています。一方で音楽に対して否定的な宗教があることも事実。原理主義的な解釈に走るあまり、庶民の娯楽を否定する勢力が存在しています。音楽活動の制限は統治を目的とする場合が多く、歌や音楽が自由の象徴でもあることを示しています。一方で音楽がプロバガンダの広布に使われることも珍しくありません。音楽は、人々の心に届きやすい共通言語でもあるのです。
◆民族の誇りを示し未来を創造する
歌や音楽は、民族によってさまざまなスタイルがあります。その地に生きる人々の営みを具現化した楽曲は、地域で民族が培ってきたアイデンティティにあふれています。喜びや悲哀、教訓を後世に歌い継いでゆくことで、歴史は厚みを増し、未来への礎と築きます。年代を問わず人を魅了するパワーがあるのが音楽。特に歌は子どもたちにとって親しみやすく、共に歌う時間が、思いやりや相互理解をもたらしています。歌声とともに心を重ねることは、世界共通の喜びなのかもしれません。
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