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チベット・イン・ソング

【日本初公開作品】
2009年製作/中国/作品時間86分
乳しぼりの歌、屋根づくりの歌、宴会の歌…。大人も子どもも知っていて、互いに手をつなぎ、ステップを踏んで歌い踊る。かつて、チベットでは生活と歌がひとつだった。そのチベット民謡を取材するため、母とともに2歳にインドへ亡命したンガワン・チュンペー監督は、27年ぶりにチベットの地を踏むことを決意する。そして彼は、ラサを訪れて愕然とする。「拡声器から、共産主義を称える中国語の歌が鳴り響いていた」。中国政府が、チベットの民謡を公の場で歌うことを禁止し、チベット民謡の歌い手が何人も処刑されていたのだ。ラサをあきらめた監督は、辺境の地をめざす。そこで出会える数々のチベット民謡。まだチベットの伝統音楽は生き残っていた。しかし、チベットに入って1カ月後、監督は中国当局に逮捕される。罪状はスパイ活動罪。裁判が開かれることもなく、懲役18年の刑が宣告される。それでも彼は多くの支援を得ながら、この映画を完成させた。
 
監督:ンガワン・チュンペー
 
◆「チベット人の魂がどう侵略されているのかを世界に訴えたい」◆
かつて毛沢東は言いました。「人を従わせるには、千の兵より二十人の歌手の方が役に立つ」。中国の権力者たちは、音楽の力を知っています。音楽を支配の道具に使ってきたのです。伝統的な民謡を禁じ、歌詞を共産主義礼賛の内容に変え、中国音楽を雨のように降らし、人々を洗脳したのです。今、急速に発展する都市ラサでは、中国の音楽であふれています。中国のポップスに興味をもつ若者が増え、当たり前のように中国の歌を率先して歌うチベット人の子どもたちがいます。もはや政治的な意識なく、チベットの人々の日常に中国の歌があるのです。チベットの伝統音楽は消滅の危機にさらされています。中国政府は、チベットを物理的に支配するだけでなく、チベット文化を破壊し、チベット人のアイデンティティを消滅させようとしているのです。ンガワン・チュンペー監督は映画を通じて語ります。「チベット人の魂がどう侵略されているのかを、世界に訴えたい」。

[予告編]
 
(映画賞/映画祭)
2009年 サンダンス映画祭ドキュメンタリー(ワールドシネマ)部門 審査員特別賞受賞
2009年 アジアン・アメリカン国際映画祭 新人監督賞受賞
2009年 サンルイスオビスポ国際映画祭 最優秀賞受賞
2009年 国際人権映画祭 観客賞受賞・特別審査員賞
2009年 カルガリー国際映画祭 最優秀賞受賞
2009年 ワン・ワールド国際人権 ドキュメンタリー映画祭  審査員特別賞
2009年 平和のための映画財団 国際人権賞受賞

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