特集「離婚とわが子」(全4本)

◆離婚は世界中の国々で起きている問題
芸能人やスポーツ選手など、有名人の離婚がニュースになることは珍しくありません。厚生労働省の発表によると、2020年の離婚件数は19万3253組。時間で割ると「約2分に1組」の夫婦が離婚をしていることになります。人口1000人あたり1.57人。「日本は離婚率が高い」と言われますが海外と比較してみると、離婚数1位はロシアで4.7人。次いでモルドバの3.7人、米国の2.5人、アジアでは韓国が2.1人、シンガポールは1.8人と、日本だけが高いわけではありません。言い換えると、離婚はさまざまな国で起きている社会問題ということなのです。
 
◆親権をめぐって起きる「連れ去り」や「誘拐」
離婚の原因は夫婦の間にあり、互いの合意によって離婚が成立します。その際に置き去りにされがちなのが、子どもの権利。親権をめぐってさまざまな争いが発生。国際結婚が増えている近年は、夫や妻が子どもを母国に連れ去る問題も起きています。国境を越えた不法な子の連れ去りを防ぐため、1980年にハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)が採択されました。日本政府は2014年に条約に批准。しかし日本では連れ去った親への実力行使が困難であることから返還命令に従わない親がいます。そのため2018年に米国から「ハーグ条約の義務不履行国」に認定されました。
 
◆離婚にまつわる暴力が女性の人権を脅かす
夫婦間の揉め事は、ときに暴力に発展することがあります。離婚理由でも「暴力(DV)」は「性格の不一致」「浮気」に次ぐ多さです。離婚話がきっかけで暴力や殺人が起きたり、暴力が離婚原因になったりと事情はさまざまですが、被害に遭うのはいつも女性。加害男性は夫や恋人、家族の場合もあります。背景には「男女は対等ではない」という宗教的価値観の支配だったり、人権意識の欠如だったり、国によっては未熟な法整備により暴力を抑止できないというケースもあります。離婚で一番の弱者は子どもですが、女性もまた弱者であるというのは、まぎれもない事実です。

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