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自撮りのために

【日本初公開】
原題:Selfie Mountain
2019年製作/作品時間15分
撮影地:インドネシア
製作国:スイス

イジェン火山はインドネシア・ジャワ島の東端にある活火山。火口付近に硫黄採掘場があり、有害なガスが立ち込める中、防御装置やマスクを付けない労働者が作業している。この劣悪な採掘現場に、観光客が殺到。悲劇に群がる「ダークツーリズム」の格好のターゲットになっているのだ。山の中腹の寂れた村は、深夜になると旅行業者と物売りがひしめく。観光客はガスマスクを買い求め、山頂へと向かう。目的は、SNS用の写真撮影だ。カメラのレンズは火口だけでなく、労働者にも向けられる。あまりの人気ぶりに入山料は10倍に値上がりしたが、労働者はその恩恵を受けられない。SNS時代の刺激を求めすぎる観光スタイルに、警鐘を鳴らす作品だ。
 
取材:ジェローム・ガリシェ、ステファン・マテオ、ロイク・ドラクール、ピエール・ボダー

◆学びよりも刺激を優先するダークツーリズム◆
ダークツーリズムとは本来、戦争や災害といったネガティブな感情をもつ場所を訪れ、悲劇の記憶を体感する「学び」を伴う観光のこと。観光コンテンツが多様化する中で注目のスタイルです。悲劇の風化を防ぎ地域の発展につなげられることから注目されています。しかし、刺激的な写真を求めるあまり、地域の人への気配りが欠けていたり、問題意識を感じていなかったりと、目的から大きく逸脱しているケースも存在。苦境にある人や、悲しみが癒えていない人にカメラを向ける事例もあり、単なる「見世物」にしているとの批判も聞かれます。

[予告編]

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