特集 「壊れゆく地球」(全9本)
◆環境問題は「待ったなし」の瀬戸際
2023年9月、世界の平均気温が観測史上最高を記録。日本でも昨夏は災害級と形容されるほどの猛暑でした。地球規模で進む温暖化、気候変動の影響と考えられています。特に顕著なのが海水の温度です。JAXAの調査によると地球全体の海面水温平均値が、過去20年の季節サイクルを逸脱した記録的な高温状態となっており、南極域の海氷面積は観測史上最小となっています。 世界気象機関は、2024年も過去最高を更新する可能性が高いと予測しています。地球温暖化の最も大きな原因は二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスで、主に石油や石炭など化石燃料の燃焼によって排出されています。工場や自動車からの排気ガスやプラスチックの生成、焼却によるものなど、私たちの生活や経済活動から生まれるものがほとんどです。
◆リサイクルとは名ばかりの実態
「環境先進国」といわれるドイツでは、包装材を減らし、リサイクル率を向上させるため、1992年から法整備が進められてきました。レジ袋有料化は日本よりも5年も早く導入。生産者には、包装材の流通・回収などに関して多くの義務を課しています。ドイツの取り組みは周辺の欧州諸国にも波及しました。欧州は消費者のリサイクル意識が高く、英国にはゴミの分別を行い、処理業者に送るボランティアが存在します。しかし、回収されたプラスチックゴミの多くは焼却され、処理業者に渡ったゴミが他国に輸出されているという現実がありました。プラスチックゴミの輸出回避は、欧州に限らず、プラスチックを大量消費するすべての先進国が解決を急ぐべき問題です。
◆経済最優先がもたらした弱者からの搾取
世界の森林は1年間に、北海道と九州を併せた面積とほぼ同じ約13万平方キロが失われています。熱帯林では企業が安価な木材やパルプ材を求め、また農場や牧場の入手のために、違法な森林伐採や火災が頻発し、森林破壊が深刻化しています。森林資源が少ない国が森林資源の豊かな国を搾取する構造です。森林には、何世紀も前から暮らし、現在も森の恵みによって生活している先住民がいます。多くの場合、森林伐採は先住民の存在や権利を無視して行われていました。森林破壊や森林火災は、人々の住む家や食料、コミュニティの歴史や文化までも奪ってきました。今こそ「持続可能」の意味を考える時です。
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