特集「モン族の村」(全3本)

◆東南アジアに住む、文字を持たない山岳少数民族
モン族は、ラオスやベトナムなどの東南アジアと中国の山岳地方で生活する山岳少数民族。中国では「ミャオ族」と呼ばれています。古代は揚子江流域に居住していましたが、漢族からの迫害を恐れて、徐々に南方へと移動してきたと考えられています。ベトナム戦争中は、ラオスの政権争いに巻き込まれ、その多くが難民になりました。モン族は民族衣装や方言によって、黒モン、赤モン、モンマン、ナーメオなどさまざまなグループに分かれます。文字を持たない民族のため、コミュニケーションは全て口伝え。民族の歴史や文化は刺繍によって伝承してきました。近年は教育の普及とともに識字率が向上しています。
 
◆精霊崇拝に基づく文化と伝統行事
モン族は伝統的に、自然界のすべての現象に、目に見えない精霊が関わっているというアニミズム(精霊崇拝)を信じています。自然とのコミュニケーションを重視し、口笛や竹笛など、言語を超えた音色で交信するのです。精霊との交流で最も大切な時期がモン族の正月。12月に行われ、儀式の最後には近隣の村々から人が集まり、祭りが始まります。日頃は見られない、刺繍の入った伝統衣装に身を包み、若い男女が結婚相手を探すための「まり投げ」に興じる姿なども見られます。
 
◆男性優位の価値観に苦しむ女性たち
モン族の社会では、女性より男性が尊重されます。結婚後、女性は男性の家で暮らさなければなりません。そのため、モン族の親は娘よりも息子を大切にします。嫁いだ女性を待ち受けるのは家事だけでなく、夫の親の面倒を見たり、畑仕事や家畜の世話をしたりといったたくさんの役目。一般的に世帯収入は低く、主に焼き畑農業など、先祖から受け継いだ仕事を継続しています。また、モン族には、「嫁さらい」という誘拐婚のような習慣がある他、男性はレイプした相手の女性と結婚すれば、その罪が許されるとされています。

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