特集「魅惑のアジアンコーヒー」(全3本)
◆世界のコーヒー豆生産の約3割を占めるアジア
私たち日本人にとっても身近な飲み物であるコーヒーは、世界60カ国以上で生産されています。南米やアフリカのイメージが強い農作物ですが、アジアも主要なコーヒー産地。ベトナムは世界2位、インドネシアは4位。他にも、ミャンマー、中国、パプアニューギニアなどもでも栽培されており、アジア圏だけで世界のコーヒー豆のおよそ3割が作られています。日本のコーヒー豆輸入量は、2位がベトナム、4位がインドネシアとなっており、アジアのコーヒーは私たちにとってもなじみ深いもの。今回の特集では、産地の暮らしや文化から、人間とコーヒーの関わりの深さを感じられる作品を用意しました。
◆コーヒー文化の発祥は16世紀の中東から
コーヒーの発祥は9世紀頃のエチオピアと言われています。その後、アラビア半島に運ばれ、16世紀にはイスラム教徒たちによって中東各地域に広まっていきました。ここで栽培されたコーヒーが「アラビカ種」と呼ばれるようになり、大航海時代にはオランダやフランスの植民地政策とともに世界中に広がっていきました。同時期にインドを経由してインドネシアのジャワ島にもコーヒー栽培に成功。現在では200種以上と言われるコーヒーの品種ですが、嗜好品としての飲用が広まった背景には、アジアで栽培が定着した影響が大きいと言えるでしょう。
◆生産地としてだけでなく、消費地としても存在感を示す
世界の三大コーヒー生産地である、赤道付近の中南米、アフリカ、アジア・太平洋の各地域は「コーヒーベルト」と呼ばれます。アジアのコーヒーベルトはインドから中国南部や東南アジアにかけての地域です。インドネシアは家族経営の小規模な農園が多く、パプアニューギニアでは他の農作物と一緒に栽培されることが多い、中国には小規模栽培から国営の大規模農場までさまざまなコーヒー農園があるなど、規模や農場経営のスタイルなどさまざまです。コーヒー消費においても、ここ数年はアジアが欧米を凌ぐ伸びを見せており、生産地のベトナム、インドネシアを中心に高級品種の国内消費も増えています。
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