
特集「台湾有事に備える」(全3本)
◆米国の変化により動き始めた中台関係
トランプ米大統領は2025年2月、台湾有事の際に軍事介入をするかを問われ、コメントを控えると述べました。米国は1979年に成立した台湾関係法により、米国が台湾に自衛のための資源を提供し、一方的な現状変更に反対するとしていますが、米国の介入は規定していません。以後も、台湾を巡る安全保障を明確にせず、戦略的曖昧さを維持してきました。バイデン前大統領は「中国が台湾に侵攻すれば軍事介入する」と繰り返し発言し、トランプ氏は昨年の大統領選期間中、台湾に対して「防衛の対価を支払うべきだ」と述べています。米国の存在が抑止力としていつまで作用するのか。中台関係から目が離せない状況が続いています。
◆圧力を強める中国と、現状維持を守りたい台湾
中国は2022年8月に台湾海周辺での軍事演習を実施。以後も2023年4月、2025年には5月と10月に軍事演習を行なっています。中国国防省は軍事演習について「必要性と状況に応じてみずから決定する」とコメント。台湾周辺での軍事的な活動を常態化させようとしている可能性が指摘されています。台湾では、緊急事態に対する危機意識を高めるとともに、有事の際の対応力を高めるための防空演習が、全土で行われています。また、国際社会との連携を深めることで、中国の圧力に対抗。若い世代を中心に独立志向が強まっていますが、与党の民進党は「現状維持」を基本方針とし、中国との直接的な対立を避けつつ、台湾の独立性を守る姿勢を示しています。
◆日本の安全だけではなく、産業や暮らしにも影響
台湾海峡の安全保障は、日本の政治、経済、軍事の各方面に大きな影響を及ぼす可能性があります。米国が台湾を支援する場合、在日米軍基地が作戦拠点となる可能性が高く、中国の攻撃対象にもなりえます。それにより日本は集団的自衛権を行使することも想定され、自衛隊の役割が大きく増すでしょう。台湾への軍事行動に乗じて、中国が尖閣諸島海域での活動も活発化させる可能性もあります。同時に複数の防衛課題を抱えるという難局が現実味を帯びてきました。経済面で言えば半導体産業への影響が大きく、また外為相場の変動も激しくなり、エネルギー価格の高騰や避難民の受け入れ問題なども予見されます。台湾有事は、私たちが自分ごととして考えなければならないテーマなのです。
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