特集「佐渡を訪ねて」(全3本)

◆文化的多様性から“日本の縮図”と呼ばれる離島
日本最大の離島としても知られる佐渡。東京23区の1.5倍にも及ぶ面積の島に、およそ4万6千人が暮らしています。奈良時代に流刑地として定められ、中世までは政争に敗れた貴族や知識人が流されてきていました。江戸時代に入ると金山が発見され、日本各地から技術者や労働者が島に定住。江戸から明治の時代にかけては北前船の交易地として繁栄しました。出身地も階級も異なる人々が持ち込んだ郷里の文化が、佐渡で融合。そのため佐渡は“日本の縮図”とも呼ばれるほど、文化的多様性を持つ島になりました。そして今も、その多様な文化を感じることができます。一人の映像作家がとらえた“日本の縮図”を、3つの作品から感じてください。
 
 
◆生物多様性を守る、持続可能な農業の取り組み
かつて「野生絶滅」の状態にあったトキの保護地としても知られる佐渡。日本産トキ絶滅後は中国から贈呈されたトキの人工繁殖が続けられ、現在では毎年数十羽のヒナが育ち、放鳥されています。トキの生育環境を守るため、農薬や化学肥料の使用を控えた持続可能な農業が普及。文化だけでなく生物の多様性にも富んだ島として注目されています。離島のため、独自の進化を遂げた固有種や亜種が生息。“サド”の名前を冠する生物も多くみられます。動物だけでなく花や樹木にも希少種が多く、また周囲を海に囲まれながら島内には標高1000メートルを超える山があることで、豊かな自然環境を形成。島の大部分が国定公園や県立自然公園に指定されています。
 
◆人口減少の島で、次の時代を築く移住者たち
佐渡は人口動態においても“日本の縮図”となっています。毎年1000人程度の人口減少が半世紀以上続き、1960年には11万人を超えていた人口は、2025年3月の推計では4万6000人。高齢化は加速し、2030年ごろには高齢者人口が生産年齢人口を上回り、地域社会の維持が困難になることを危ぶまれています。そのような状況の中、佐渡へと移住する人たちも少なくありません。2021年の移住者数は503人。故郷に帰ってくる人はもちろん、大都市圏での暮らしに疲弊した人、豊かな自然環境を求める人、新たなビジネスに挑戦したい人などさまざまな人が、佐渡に移り住んでいます。なぜ移住者たちは佐渡の地を選んだのか。その答えは、映像の中にあるかもしれません。

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