
特集「台湾の軌跡」(全15本)
◆軍事独裁体制を終わらせた原動力は民衆の力
台湾は「常に植民地化されてきた島」として、長年にわたり外国勢力による侵略と苦難を経験してきました。第二次世界大戦後、中国内戦に敗れた勢力が台湾に移転し、1987年まで権威主義的軍事独裁体制を継続。しかし、1995年から96年にかけて初の直接選挙が実施され、平和的な民主主義国家への移行を果たしました。台湾の民主主義は時間をかけて強化され、アジアで最初に同性婚の合法化を実現するなど、社会的な進歩を遂げてきました。民衆は独裁政権による支配を否定し、自治と自己決定権の実現を強く求めています。
◆中国の脅威と圧力に屈した国際社会の無力さ
中国共産党の「権威主義的侵略」の脅威に直面する台湾は、「苦労して勝ち取った民主主義、自治、自由」を守り抜こうと奮闘しています。中国は台湾を自国の「省」と見なし、武力行使の可能性を放棄していません。一部のアナリストからは、中国が近い将来に台湾に侵攻するとの懸念が指摘されており、危機感が高まっています。台湾は数十年にわたりこの脅威に備え、軍隊の強化を進めてきました。しかし中国は核保有国であるため、通常戦争での勝利は困難です。外交的解決策の模索が極めて重要です。中国は、軍事演習の常態化と並行して、国際機関からの台湾排除を画策。台湾の国際的影響を最小限に抑えようとする戦略を持っています。台湾は完全なる国際的承認を求めていますが、この差し迫った危機に対して国際社会の覚醒が遅すぎるという懸念があります。
◆歴史的、軍事的、経済的にも大切な日本との関係
台湾と日本は、歴史的に深く複雑な関係にあります。戦前は日本の統治下にあり、戦後には中華民国政府が大陸反攻のため、かつての敵であった旧日本軍の軍人たちを極秘裏に軍事顧問団として組織した歴史も存在します。現代においては、台湾海峡の安全保障は日本に重大な影響を及ぼします。米国が台湾を支援する場合、在日米軍基地が作戦拠点となり、中国の攻撃対象となる可能性が高まります。日本の集団的自衛権行使や自衛隊の役割増大が想定され、同時に複数の防衛課題を抱える難局が現実味を帯びています。経済面では、半導体産業への影響や外為相場の変動など、広範な影響が予測されます。台湾の平和は、日本の平和にも大きく関係しているのです。
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