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独りにはならない
【日本初配信作品】
原題:Tanha Nakhaham Mand
英題:I won’t remain alone
2021年製作/作品時間15分
撮影地:イラン
製作国:イラン
脳死状態になった息子の体を臓器移植に寄付した、イランの老夫婦の物語。脳卒中で倒れた息子は脳死と診断され、夫婦は医師に臓器の提供を勧められる。周囲の説得に理解を示しながらも、自分達の感情が優先して臓器提供に踏み切れない二人。それでも夫婦は「これが定め」と腹をくくり、息子の臓器を寄付することを決断した。医師から「英断」と称賛されても、複雑な思いは変わらない。思わず「私が死ぬべきだ」という言葉が口をつく。5年後、夫婦の元に訪れた一人の女性によって、二人は臓器提供という行為の価値を知る。家族愛と命の尊さを実感できる作品だ。
監督・編集:ヤセル・タレビ
撮影:ファラバクシ・フェイドニア、マハムードレザ・マフィ
音楽:アクバル・ラストガル
◆死体からの臓器移植を阻んできた伝統的宗教観◆
かつてイスラム教徒にとって死者や脳死者からの臓器摘出は、「死体損壊の禁止」というイスラム法の規範に反することから忌避されてきました。イランではホメイニ師とハメネイ師がそれぞれ1989年、1992年に死体からの臓器移植を合法とする教令を出しましたが、刑法の死体損壊に抵触するため移植が進まず、2000年に死体や脳死状態の患者の臓器摘出を合法とする法律が定められました。しかしそれでも、イスラム法における禁止行為と捉える人々も多く、死体からの臓器摘出に否定的な意見も根強く残っています。
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