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タクシードライバーの私
2016年製作/インド/作品時間82分
デリーは女性にとって安全ではない街。だからこそ、主人公のインド人女性デヴキの願いは、自分がタクシー運転手になって、他の女性を安全に家まで送りとどけること。そして、彼女自身がタクシー運転手として経済的に自立することでした。しかし、彼女の目標を達成するには、最初に父親、次に夫、そして最後に義父を説得しなければなりませんでした。伝統的にインドでは「結婚したら女性は家庭に入り、義父母の面倒をみる」という価値観が根強く残っているのです。女性がタクシー運転手として自立するなど、男たちの常識では、まったく理解不可能なのです。デヴキは、娘、妻、母という3つの異なる生活段階を経ながら、自らの人生を、自らの意思で果敢に切り開こうとします。
監督:マヌエア・バスティアン
◆女性の経済的自立が男性優位社会を変える突破口に◆
このドキュメンタリー映画は、ごく一般的なインドの女性が、社会や家庭においてどのような立場におかれているのかをリアルに知ることができる作品です。家庭で絶対的な権力をもつ父と発言権のない娘、夫に従い夫の一族に尽くさなければならない妻、そして子どもの面倒をすべて引き受けなければならない母。いずれも女性は弱い立場です。そして、あちこちから聞こえる女性蔑視の言葉。登場する、父、夫、義父に悪意はなく、むしろデヴキを理解しようと努めているようにも見えますが、社会的な常識や伝統、慣習そのものを根本から変えることは、まだまだ難しい現状を実感させられます。一方で、彼女のような若い世代の女性が、少しずつ社会に変化をもたらしていることは確実です。急速な経済発展を遂げるインドが、これからどのようにして女性の権利を確立させていくのか、それは女性の経済的自立と密接に関係しているのです。
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