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世界で一番ゴッホを描いた男
2016年制作/中国・オランダ/作品時間84分
ゴッホの複製画を描くことに人生を捧げる男を追ったドキュメンタリー映画。複製画の制作で世界の半分以上のシェアを誇る油絵の街、中国・大芬(ダーフェン)。出稼ぎでこの街にやって来たジャオ・シャオヨンは独学で油絵を学び、20年もの間ゴッホの複製画を描き続けている。誰よりもゴッホの絵を知り尽くし、ゴッホと共に生きるジャオだったが、実は本物のゴッホの絵を観たことがない。どうしても本物のゴッホの絵を観たいという夢は日増しに募り、夢を叶えるためにアムステルダムを訪れるのだが…。
監督:ハイボー・ユウ、キキ・ティエンチー・ユウ
◆自由に、大胆に複製画を描く熟練の画工たち◆
大芬の油画村では、複製画を描く人々を画家ではなく、画工と呼びます。有名画の写真を見ながら手際よく複製画を描いていく画工たち。一枚の絵を、複数の画工で分業して描くこともあるといいます。彼らは芸術家ではなく、あくまで職人なのです。実態を知った多くの人々は、そんなものはアートではなく大量生産。単なる模倣であって創造性のない作業だと思われることでしょう。実際、多くの美術関係者も、ここで生産される複製画がクリエイティブであるとは考えられてきませんでした。しかし、注目すべきは大芬の画工たちが、有名作品を模倣した油絵を大量に描いていく過程で、熟練するほど、自由に、大胆に、思いを込めて複製画を描いているということです。ゴッホの心情に思いめぐらせ、まるでゴッホになり切ったかのように絵筆を走らせる姿には驚かされます。彼らの姿は、私たちにアートへの偏見を取り除き、さらにアートへの自由なアプローチを私たちに与えてくれるようにも思えるのです。
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