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鉄の男たち チッタゴン船の墓場

【日本初公開作品】
2009年制作/バングラデシュ/作品時間60分
バングラデシュ南東部の港湾都市チッタゴンは、世界中から現役を引退した船が集まる「船の墓場」。ここでは約2万人の労働者が、巨大な廃船をほぼ手作業で解体します。大型船を砂浜に座礁させ、重機もろくに使わず、まさに人海戦術。鉄の塊に群がる労働者たちの姿は、まるで蟻のようです。10年前に家を出た21歳のベラル、32年間チッタゴンですべてを費やした熟練労働者ルフィク、12歳の幼い児童労働者エクラムル。そんな彼らの稼ぎは1日5ドル以下。作業中に命を失う人は、毎年20人にのぼります。彼らはわずかな稼ぎのために命を危険にさらしているのです。しかし、その稼ぎは家族を養う唯一の支えです。汚染物質と有毒ガスでいっぱいの過酷な労働環境にもかかわらず、船は彼らにとって、神からの贈り物なのです。
 
監督:パク・ポンナム
 
◆深刻な貧困、汚染、労働環境、これが最貧国の現実◆
最貧国バングラデシュのチッタゴンは、世界最大の船舶解体現場であり、バングラデシュ全体で使用される鉄の60%を産出しています。解体現場で働く人々は、ほとんどが地方からの出稼ぎ労働者で、違法な児童労働者も、貧しい家族を支える稼ぎ手として働いています。ここで問題にされているのは、賃金の安さや危険な作業だけではありません。老朽船に使われているアスベストやPCB、TBT等の有害物質が人体に与える影響や、解体時に垂れ流しにされる残油と汚泥が海洋に与える影響が国際的に懸念されているのです。そして、世界の廃船の8割近くが、インド、バングラデシュ、パキスタンの貧困労働者たちによって解体されているという現実があります。先進国の物流を支えた巨大な船舶たち。経済効率を追求され、建造された船舶が、貧しい人々の手でひっそりと葬り去られています。そして、私たちが知るべきは、チッタゴンで解体される船舶が70年代後半以降に建造された大型商船で、その7割が日本製で占められているということです。

[予告編]

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